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莉禾には、母親と離れることに抵抗しない女の子がわからなかった。
あんなに小さな子供が、母親と離れて平気な分けないだろう。
そう強く思った。
女の子は森に足を一歩踏み入れた。
ここで初めて母親を振り返る。
振り返った女の子を見て、母親はにこっと笑った。
「!!」
遠くから見ていた莉禾にはわかった。
母親の背後に、武器を構えた兵士がいたことに。
「やめろおぉぉ――!!」
「…かぁちゃん…」
莉禾が走ったと同時に、兵士の刀は母親を貫いた。
「!!」
莉禾は思いとどまり、足を止める。
何で……!何で……!!
そう思ってから、女の子を見た。
女の子はさっきの場所で静止していた。
「……かぁちゃん…」
「………!」
莉禾は、ただ死んだ母親を見つめる女の子を見て、締め付けられる想いだった。
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