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――
「だぁぁー! やべぇ!」
随分と爆睡ぶっこいちゃった、まひるはバイトの時間ギリギリに目覚めた。
寝癖、そのまま。適当に部屋に置いてある服に着替え、慌てて家を出る。
「ったくなんで誰も起こしてくんねーんだよ」
……当然である。誰もいない家。ましてやメールの音でさえ起きないのだから。
まひるは自転車にまたがり前かがみの体勢に入る。
スイッチオン!
さぁ、やって参りました。
まひる選手エンジン全快です。
と、言っている間にバイト先に到着。
「ちわーっす」
バイト仲間に挨拶。
何やらケラケラと笑われている様子。
「なんだよ!」
「お前、寝てただろ?」
「あ? わりぃか? 遅刻してねーから、いいだろ」
少しふて腐れながら制服に着替える、まひる。
「お前、ヨダレの跡ついてるぞ。やっぱ、お前は浅野だな。こないだのは幻か」
バイト仲間達がまひるを冷やかす。
まひるは、慌てて口を拭い、何故かムカついていた。
ヨダレを笑われた事にではなく、こないだの姿は幻だと言われた事に。
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