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「ちーっす。三浦いる?」
「浅野! お前挨拶ぐらいちゃんとしろよ。あと先生と呼べ」
実は、先程の数学教師、三浦先生は、まひるの母親の弟だったり。
小さい頃は一緒に駆けずり回って遊んでいた仲。
一人っ子のまひるには三浦先生が兄貴的存在だった。
「んで、何?」
「何じゃないだろ! お前またやったらしいな?」
「何を?」
「とぼけるなよ。回し蹴りだよ。やめろと言ったよな」
「あはは~。体が勝手に」
「だからさぁ、お前もう少し、女らしくしろよ。17にもなって彼氏ぐらい作れよ」
「あんだよ。三浦まで美香と同じ事言うのかよ」
「姉さん、嘆いてたぞ。女の子産んだはずなのにって」
「しるか! 用はそんだけなら帰る」
「浅野! 待てよ」
どいつもこいつも女らしくしろって、うるさいんだよ。何がいけないんだよ。
ぶつくさとふて腐れながら、まひるは職員室を出た。
「アヒルじゃんか」
職員室を出ると瞬が立っていた。
「アヒルじゃねぇ。まひるだ!」
「ね~ぇ、誰?」
瞬にべったりくっついている女が聞く。
「こいつが例の」
色気溢れた女が、まひるを見てクスっと笑う。
髪はロングで毛先がクルンと巻かれており、アイメイクバッチリに潤んだ唇。
まひるとは正反対のこの女。遠峰 愛理。まひると同じ17歳。
ここまで、違うものか。
「瞬、行きましょ」
愛理はまひるに向かって鼻で笑い瞬の腕に自分の腕を絡ませ、まひるの前を通り過ぎた。
あんなのが、女らしいってのか?
女ってめんどくさいな……
腕を組ながら、愛理の容姿について考えていると肩をポンと叩かれ
「メールして」
アドレスが書いてあるメモをまひるに渡すと瞬は愛理の元へ走って行った。
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