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恐る恐る投球練習をしてみるが左足の踏ん張りがやはり利かないようだ。
水島の異変に一番に気づいたのは高岡だ。
高岡はベンチに目を向けた。
それは次のピッチャーの準備をしてくれという訴えだった。
しかし、誰も高岡の訴えなんかわかるはずもない。
今、ここでベンチに合図を送ったら経大付が弱みをつけ込んで攻めてくるのは容易にわかることだ。
とりあえず高岡は水島のところへ向かった。
「水島。お前、俺に何か隠してないか?例えばどこか痛めたとかさ。」
「いや自分は何も隠してないです!」
水島が嘘を言うことはなんとなくわかっていた。
「……よしわかった。疑って悪かったな。点を取った次の回の守りだ。引き締めていけよ。」
水島は大きくうなずいた。
でもやはり心配だ。
高岡はもう一度ベンチを見た。
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