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ただでさえ気温が高いのに球場が一気に熱気で包まれた。
二死三塁の場面で九番伏兵堂山がレフトスタンドへ流れを経大付に戻す大きなツーランホームランを放ったからだ。
点差は一気に一点差に縮まった。
たまらず大嶺はマウンドへ伝令を向かわせた。
「一点差で勝ってるんだ。焦ることはないんだ。この回をなんとか抑えて次の攻撃に備えよう。」
伝令役の笹木が屈託のない笑顔でナインを鼓舞した。
「わかってんのか?水島。お前がここで踏ん張らんといけんので!」
明らかに顔つきがおかしい水島に森山がミットを胸に押さえつけた。
一瞬の沈黙。
そして森山の一言に目つきを変えて水島が答えた。
「森山さん。大丈夫ですよ。俺の後ろには川内さんがいるんですから。だから俺は全力で投げ切れます。信じてください。俺と川内さんを!」
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