破られた日

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  吐く息が真っ白で 街中はクリスマスに 染まっている。 李那はそこで 恋人を待っていた。 しかし 予定の時間を過ぎても 彼が現れる気配がない。   そんなとき 李那の携帯が震えだした。 ディスプレイには       大樹       と愛しい彼の名前が。 李那は待っていましたと 言わんばかりの声色で 電話を取った。   「あっ、大樹?? 今ど『ごめん、李那。 まだ会社なんだ。』 「そっか。 まだ終わらないのか。 それじゃあ、仕方ないね。」 『ごめんな。 部下がヘマしてさ。』 「大丈夫だよ。 大樹は、人の上に立ってるんだもんね。 また仕事頑張って。 あたし帰るね??」 『うん… 本当にごめんな。 年末には、二人で俺の実家行こうな。 それじゃあまた。』 「ブチ…ツーツーツー…」   せっかく 今日のために 見つけた 黒の落ち着いた ワンピース。 早い時間から 美容院へ行き 仕上げた髪。 雑誌などを 参考にして 大人に仕上げた 化粧もすべて 水の泡に なってしまった。   結婚する前に 最後のクリスマス だったのにな… クリスマスの予定まで 狂うのか… などとブツブツ 言いながら李那は 帰り始めていた。  
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