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それに対してた由綺の方はというとオロオロとしながら、反論しようとする。
「だって…、九条君がー」
「だってじゃねぇよ!!お前、世間知らずにも程があんだろ!!俺が金蔓探してるだけだったらどうする気だったんだよ!!」
しかし、それを遮る様に明人は叫んだ。
彼はもう訳が解らなくなっていたいたのだ。
関わって欲しければマリファナを吸えと言われて、実際に吸おうとする人間が存在するとは彼自身全く思っていなかった。
だから、そんな人間が現れて、明人は本当に混乱していたのだ。
「だってぇ…、吸わないと…グスッ。煙草止めないって…もう関わんなって…うぅ」
遂にはそう言って、完全に泣き出してしまった由綺。
学園一といわれる彼女の顔は、鼻水やら涙やらでグシャグシャになり、完璧に台無しになっていた。
(あ~、泣かしちまった…。もう噂どころじゃ済まねえな)
大体高二が泣くかよ、普通…。
そう考えた彼は憂鬱な気分になり、大きな溜め息をついた。
「あぁ~、俺が悪かった。もう煙草とはアディオスだ、吸わね~よ。もう関わんなとか言わねえって約束するから、泣かないでくれよ…」
非があるのは明人の方なので、彼は完全に折れてしまった。
由綺は頷くも、そう簡単に泣き止む事は出来ないようで、ハンカチを取り出しては何度も涙を拭っていた。
キーンコーン…。
そして、無情にも鳴り響く、昼休みの終わりを告げるチャイム。
次の授業を休む訳にもいかなくなった明人は嘆くように目を瞑り、上を見上げた。
「…教室戻ったら、絶対何かやられるな」
これから始まるで有ろう状況を思い浮かべて、彼は盛大な溜め息を吐くのだった。
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