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【荒れ果てた野を 一人の少女が往く
正確には一人と一匹
少女の右手には赤い紐】
【その先に結ばれたる首輪もまた赤く
黒銀の毛並みを持つ犬は
小さく吠えた】
【飼い主たる少女
『澪音』に語りかけるかのように】
豪奢な廃墟に転がり
冷たい雨に怯える
輝ける名誉も権力(ちから)も
今ではもう過去の所有物(もの)
【観測とは事実の側面を抉り取る刃物(ナイフ)
その男は果たして何を得何を失ったのか】
奪いし物は奪われ 斯して世界は廻る
降り止まない雨の向こうに
何色の空をみる
代償(リスク)を背負うほど
加熱する駆け引きは
全て失くすまで気付かない
度し難い自我(エゴ)の下僕(しもべ)
空虚な廃墟に転がり
冷たい雨に震える
帰る場所も待ってる人も
今ではもう過去の支配領域(ばしょ)
【推測とは事実の背面を削ぎ落とす刃物(ナイフ)
その男は果たして何を見何を悟ったのか】
奪いし者は奪われ
斯して時代は廻る
降り止まない雨の向こうに
何色の空がある
運命を捩じ伏せ
従える心算(つもり)でも
未来(とき)を掴もうと伸ばした
その腕では短過ぎた…
閉ざされた少女の瞳が
開かれし瞬間(とき)世界は
幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を
残酷な死神(かみ)を見る
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