澪音の世界

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──澪音の世界 【『死』とは精神(こころ)に先行して まず肉体(からだ)に依存する感覚から朽ち果てるものらしい】 【なればこそ人間(ひと)は散々忌避し 逃避を企てながらも 招かれざる死の冷たい接吻(くちづけ)に 耐え得るのだろうか】 【絶え間ない恐怖感が雨となり 降り続けるという幻想 それは生きながらにして 精神(こころ)を壊されてゆく苦痛】 【硝子球のように透き通った 永遠の合わせ鏡 罪人は少女の瞳の中に 唯『世界』を見るという】 【百聞は一見に如かず 千聞とてまた然り 憐憫侮蔑的外れな嘲笑 謂わば対岸の火事】 【燃えるまでは熱さ解らず 燃えてからでは遅過ぎる】 【この世界で何人が 罪を犯さずに生きられると言うのか】 ──澪音の世界 閉ざされた少女の瞳が 開かれし瞬間(とき)世界は 幻想し得る最悪の狂夢(ゆめ)を 残酷な死神(かみ)を見る 薄氷色(アイスブルー)に煌く瞳が 鮮やかに朽ちる世界と 堕ちてゆく狂夢(ゆめ)に唇を重ねて 残酷な死神(かみ)になる 【地に蔓延りし我ら罪人の群れ】 【願わくば君が澪音の世界に 囚われないことを】
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