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「そうですよ、村長!1人の犠牲で村民全員が助かるんですよ!」 と、ケイタロウの意見に賛同したのは、細身で長身のリョウスケだ。 「もちろん、それは承知しておる。じゃが、その1人が問題なのじゃ。今の村には儀式の対象者はただ1人。しかし、その者を捧げてしまえば、この先誰もおらんのじゃぞ……」 そう言って、村長はうなだれて目をつぶってしまった。 村の現状は非常に厳しい。 外界との関わりを極力避けるという村の歴史が人口の減少を生み、ついには存続の危機すらもたらしていた。 すると、若者衆の長のショウスケが口を割った。 「村長、いけにえを捧げましょう。今回、いけにえを捧げれば次は3年後。3年間は安泰なはず。ならば、その3年間で対策を考えましょう」 村長は、ショウスケの自信を持った力強い目の奥に何か策を持っている事を悟っていた。 「ショウスケよ、そなたは何か策を考えているな。話してみよ」
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