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村の入口付近に村人が何かを囲んで群がっていた。
がやがやとした話し声と、野次馬に興味を持った村人が次々とやってきては輪に加わる。
その輪の中のものを見た村人の反応は様々だ。隣の人と話したり、しっかりと見ていたり、目を背けて輪から離れたり――。
そんな輪に、3人の体格のいい若者が割って入ってきた。
「はい、どいてどいて!」
若者達は輪の最前列まで行くと、輪の中心のものを見て腕組みをし、それぞれにため息をついた。
「ひどいな。この2ヶ月で6人目か」
1人の若者がそう言って、持っていたゴザのような物をかけようと広げた。
輪の中心には、肉塊と化した死体が無造作に転がっていた。死体は無惨に散らかされ、体の一部から、かろうじて人間だという事がわかる。だが、この死体からは性別はおろか、それ以外の情報を得ることは不可能だった。
「村長に報告に戻ろう。これ以上の犠牲はごめんだ。やはり、あの方法以外ない……」
1人の若者がそう言うと、若者達は顔を伏せた。
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