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戸惑う暁に歩はニヤリと笑って答える。
俺だけにしか出来ないがな。と言う補足は面倒臭いので取り敢えず割愛しておく。補足しようがしまいが何も問題は無いだろう。
「あの…」
瑞穂が徐に口を開くと、歩と暁が同時に彼女の方に振り返る。
「何でこんな物が私の中に…?」
瑞穂が自分の胸に手を当てて尋ねると、歩と暁は互いに顔を見遣った後に瑞穂の方に向き直る。
「それは…」
「その話はまだ時期じゃ無い」
答えようとするのを遮るかの様に暁の鳩尾辺りに歩の裏拳が強かに叩き付けられた。
「……ッ」
痛みに悶絶する暁を放置して歩が代わりに返答する。
「いずれ話す、と言う事で納得してくれないかな?」
屈託の無い笑みを浮かべて、諭すかの様な口調で言う歩。瑞穂は言及しようとするが、強く握り締められた歩の右の拳を見て思わず黙り込んだ。
「今は君の中にある物がとんでもなく物騒な代物で、それを狙ってテロリスト共が襲って来るとだけ分かってくれれば良いよ」
満面の笑みを浮かべて言う歩の笑顔にはどこか迫力が込められており、瑞穂はただ頷くだけしか出来なかった。
「うん…」
心細そうに頷く妹の姿を見て暁がフォローを入れようとする。
「心配しなくても、歩君が守ってくれるよ。何てったって歩君の体内には、対ミュータント戦術において圧倒的優位性を誇る特殊基幹ASドライヴが…」
「機密事項を口にするな」
暁の言葉を遮る様に満面に微笑む歩の肘鉄が、暁の鳩尾辺りに強かに叩き込まれた。
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