第二章 銀の姫君

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   3  日の沈み掛けた夕方に士道高政は御巫市の自然公園のベンチに腰掛けていた。彼の周りには公園内で遊ぶ子供達の姿や、いかにもスポーツマンと言った雰囲気を醸し出している男性、ペットの散歩をしている人達の姿が見掛けられた。  そんな士道の隣に一人の少年がやって来て、彼の隣に腰掛けて来た。  艶のある暗黒色の髪に暗黒色の虹彩を持つ瞳、雪の様に白く透き通った肌に女性の様に綺麗な顔立ちをした中学生位の少年だった。コートを身に纏い、首にマフラーを巻くと言う至って民間人と変わらない服装をしている。  そんな少年に連れ添う様に黒スーツ姿の男が一人立っていた。その男はスーツの袖に腕を通してはいるが、身に纏わずにラフに着崩した、腰まで伸びた長い黒髪が特徴的だった。 「ごめん、少し遅かったかな」  少年が詫びるかの様な口調で言った。 「いえ、構いませんよ。日月首領」  士道は微笑を浮かべて言った。 「お久し振りねぇ、士道ちゃん。相変わらず良い男だわぁ」  長髪の男が女々しそうな口振りで言った。 「相変わらずですね、梶谷さん…」  士道はどこか呆れ果てるかの様な口調と表情で返答する。 「もちろんバリバリよぅ! 今日も良い男センサーがビンビンマックスなのよぉ!」 「本当に相変わらずの様で…」 「もちろん、士道ちゃんも守備範囲内だから安心してねぇ!?」  梶谷と呼ばれる男の言葉に、思わず士道は戦慄を覚えてしまった。 「仲が良いね…」  そんな二人のやり取りを見ていた日月と呼ばれた少年は可笑しそうに微笑んで見せた。
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