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泣いているリリィを見てカイトは思う
(面倒くせぇ、一々泣くなよ
そういえば今年はアイリスからクリスマスカードこないのか?)
などと考えていた
血も涙もないのか?と、思うかも知れないが、これには理由がある
カイト自身、両親の顔を知らないし、物心付いた頃から両親のいない生活を送ってきたカイトには、リリィより深い悲しみがあるのだ
だからこそカイトは、リリィに対してこう思うのだ
そしてその悲しみを誰よりも理解出来るのである
と同時に、今まで家族のいなかったカイトにとっては、嬉しいことでもあるのだ
カイトは、何かに突き動かされるようにリリィを抱き締めていた
思っていた以上に細く、小さなその体を、自分の家族の存在を確かめるように、強く、強く、抱き締めた
そしてカイトは心に誓う
自分が、この子を、たった一人の家族を守ると
その時、頭の中に声が聞こえた
『目覚よ、鍵はそろった』
「お兄…ちゃん?どうしたの?痛いよ」
どうにか落ち着いたらしいリリィが、自分を抱き締めているカイトに話しかける
カイトは突然話しかけられて驚いていたが、普通にこたえる
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