俺どうすればいいの?

5/11
前へ
/79ページ
次へ
泣いているリリィを見てカイトは思う (面倒くせぇ、一々泣くなよ そういえば今年はアイリスからクリスマスカードこないのか?) などと考えていた 血も涙もないのか?と、思うかも知れないが、これには理由がある カイト自身、両親の顔を知らないし、物心付いた頃から両親のいない生活を送ってきたカイトには、リリィより深い悲しみがあるのだ だからこそカイトは、リリィに対してこう思うのだ そしてその悲しみを誰よりも理解出来るのである と同時に、今まで家族のいなかったカイトにとっては、嬉しいことでもあるのだ カイトは、何かに突き動かされるようにリリィを抱き締めていた 思っていた以上に細く、小さなその体を、自分の家族の存在を確かめるように、強く、強く、抱き締めた そしてカイトは心に誓う 自分が、この子を、たった一人の家族を守ると その時、頭の中に声が聞こえた 『目覚よ、鍵はそろった』 「お兄…ちゃん?どうしたの?痛いよ」 どうにか落ち着いたらしいリリィが、自分を抱き締めているカイトに話しかける カイトは突然話しかけられて驚いていたが、普通にこたえる
/79ページ

最初のコメントを投稿しよう!

257人が本棚に入れています
本棚に追加