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○海根家・ダイニング(夜)
食卓を囲んでいる小珠、美鈴、小珠の父、海根芳蔵(58)。
海根「近所の人が、お前を見かけたって言ってきたぞ……何をしてるんだか知らんが、昼間からあちこちほっつき歩くんじゃない」
小珠「……だって、琉珂を探してたんだもん」
海根「……」
海根の表情が曇る。
美鈴「あのね、小珠……」
海根「……」
美鈴に目配せする海根。押し黙る美鈴。
海根「まだあんな訳の分からんヤツとつきあってるのか?」
小珠「いいじゃん、べつに……」
ふて腐れる小珠。
海根「この不景気の中、そんな仕事が安定しない男とつきあったっていいことないぞ」
小珠「不景気とか関係ないし……どうして、すぐそういう話になるわけぇ?」
海根「そいつは、ホントに小珠のことを大事に思ってるのか?」
小珠「決まってんじゃん、そんなこと」
海根「いまだに家にも挨拶に来ないが……その程度のつきあいなんだろ」
小珠「琉珂は忙しい人なの……あたしともそんなに会ってくれないし」
海根「いくら練習で忙しいからって、少しくらい時間は取れるはずだ」
小珠「いいじゃん、もう……娘に干渉しすぎの父親って最悪」
席を立つ小珠。
海根「……探していたとかいったが、どこかにいなくなったのか?」
小珠「お父さんには関係ないから……」
憤慨し、自分の食器を片付ける小珠。
閉口する海根。
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