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「史也さん、どうぞ」
「ありがとうございます」
ホカホカのビーフシチューをテーブルの上に置くと、史也さんは手に持っていたスプーンで食べ始めた。
「美味しいですね」
元彼とのいざこざが解決した後、私達の絆は深まった気がする。
毎晩、史也さんの為に夕飯を作るのが私の日課になっていた。
「じゃあ、私は帰りますね」
史也さんが夕飯を食べ終えたのを見計らって、私は上着を羽織る。
「待ってください。送ります」
慌てた様子を見せながら用意し始めたので、私は大人しく待った。
見ての通り、私達は同棲はしていない。
毎日史也さん宅に行くものの、泊まる事なく必ず帰るのだ。
史也さんは私と同棲したくないというわけではないらしい。
「どうしましょう……我慢できますかね。何度か千夏さんは泊まりに来たけど、生き地獄でしたし……耐えられますでしょうか。きっと千夏さんのあちこち……あんな所まで触れて鳴かせてしまいそうだ」
なんて事を真剣に悩んでいるものだから、同棲はしないことにしたのだ。
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