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「もうすぐ合唱コンクールですね」
「覚えてたんですか?」
合唱コンクールは、ちょうど今日から一週間後にある。
全く合唱コンクールのことを話題に出さなかったので、忘れていると思っていたのだけど。
「千夏さんの勇姿は、目に焼き付けておかないといけません」
「……そ、そうですか」
こんなにも楽しみにしている人は、史也さんくらいではないか。
「そういえば、合唱コンクールが近いのなら、帰りとかも練習があるのですよね?」
「ありますよ」
優勝を狙っている私のクラスは練習に意欲的で、余っている時間は練習ばかりしている。
また、クラス練習が終わると、ソロ練習もありとにかく帰るのは遅い。
最近忙しい史也さんほどではないけど。
「大変だ!俺がなぜ気付かなかったのだろう」
「どうしたんですか?」
いきなり青くなって戸惑う史也さんに、そう問い掛けるしかなかった。
「遅い時間に一人で帰らせるなんて……千夏さん!」
「はい!?」
「大丈夫ですか?変な人につけられていませんか?帰る時は人通りの多い所から帰ってくださいね……あーもう心配です!俺が迎えに……だめです会社はどうしても抜けられない」
絶望的になったのか、頭を抱えてしまった。
大袈裟な。
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