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これは、随分前に見かけた婦人にまつわる話しです。
私は、いつもの様に、道路沿いに面した家の前を通過しました。
その家は、広い庭があり奥に屋敷が建っていました。
なぜか、その時に家の方へ目をやりました。
庭に面した、廊下の柱にもたれる様に婦人が立っていました。
その婦人は、大きめの花柄のブラウスを着ていました。
とても美しく上品に微笑んで見えました。
丁度その頃の庭には、つつじが綺麗に咲いていました。
私は、婦人がとても庭を気に入っているのがわかりました。
そしていつか、機会があったら、その家の人に伝えてあげよう、と思っていました。
それから数年後、縁あってその家の若奥さんと友達になりました。
ある日、お宅へお邪魔して驚きました。
婦人の遺影の服が、花柄だったのです。
私は、婦人を思い出し話しました。
若奥さんは、とても驚いていました。
『この庭は、義理のお母さんが手入れして造ったの』と話してくれました。
私は、やっと伝える事が出来て良かったと思いました。
後日談ですが、丁度その時に新しく家を建てるのに、土地を離れるかどうか迷っていたと言ってました。
毎年、庭師をいれて綺麗に手入れしながら、今でもそのまま暮らしています。
きっと婦人も喜んでくれていると信じてます。
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