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帝国は違った。絶対王政の中で民は苦しみ、悲鳴を上げた。やがて、その悲鳴は、妬みとなって人間達に向けられた。
人間と魔人の仲は見る見るうちに険悪なものになった。国交が絶え、帝国の悲惨な状況はより一層酷さを増していき、人間の国に逃げていくる魔人も現れた始末、魔人の王の妬みが爆発するのにさほど時間はかからなかった。
魔人は禁忌に手を出したのだ。
“人、人を作るなかれ。魔人、魔人を作るなかれ”
魔人は魔法によって魔人を作ってしまったのだ。
オークと呼ばれる作られた魔人たちには心がない、ただ、魔人の王に付き従うだけ。オークは量産され、帝国は大きな兵力を得たのだ。
捩れた歯車は三人の神の手でも戻ることはなかった。
魔人は山を降り、人間に戦いを挑んだ。
最初こそ苦戦していた人間も知恵と魔法と力を合わせて一致団結し対抗した。帝国から逃げ出した魔人や、森に住むエルフ達も協力し帝国と戦い始めた。
だが、圧倒的なカズと力を持つ帝国に戦況は一方的に流れていった。
一つ、また一つと街は火の海になった。
トリエニル湖の畔にある小さな街も例外ではなかった。
街とは湖をはさんで反対側のアーガリエ平原では毎日戦争が続いていた。
毎日のように街に運ばれてくる傷ついた兵士達と戦地へ向かう兵士達に街の人たちは惜しむ事無く受け入れ送り出した。
この街には王家の別荘があり、そこには現国王の愛娘である王女スフィアが訪れていた。
兵士を鼓舞する役割もあるのだが、聖母のような優しさと慈悲深さを持っている彼女自身が役に立ちたい望んだことだったのだ。
もちろん護衛は国王直属の親衛隊が付いているのだが、国王の心配は絶えない。
そんなある日、事は起きた。
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