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「そう…です…ね…」
名残惜しそうに言うオーディリアだったが、最高神である彼女が下界に長く滞在するのはかなり危険なことなのだ。
天界自体は神悪が混同した空間で、下界と大きな違いこそ無い。だが、天界と違って下界は高等の神族や魔族にとって毒素の多い空間で、長期間滞在すると汚染を受けてしまう。
特にアース宮殿は絶対領域、汚染された者が入ろうとすると拒絶反応を起こす。これは高等神族にとって死活問題なのだ。
最上層に住むオーディリアは最も気を使わなければならない。下界へ降りれば大規模な浄化を行わなければ最上層に住むことすら出来ず、宮殿に精神を犯されてしまうことになる。
それ程強いわけではないオーディリアの場合、下界に五分も居れば一時間程度浄化しなければ、宮殿の拒絶反応に一分と保たない。
影もオーディリア自身も重々承知していることだった。
「パルテノン…、いえ、男爵。またアースで会いましょ」
そう言って、オーディリアは影の頬に軽く口づけをした。
影…、パルテノンと呼ばれたそれは静かに目を瞑り、オーディリアの気配が消えるのを確認して瞼を開いた。
「浄化を行う神官達が可哀想だな…」
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