第一章

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   直接会えば、糸を見ることになるだろう。電話で話してしまえば、そんなことを心配せずに済む。 『あ、もしかして会いたくない?』  そんなことをストレートに聞いてくるこの友人は、確かに変な奴だが、嫌いではなかった。 「今日は暇?」 『もちろん』  電話口でも笑顔がわかるような声で、友人は答えた。  外の世界は想像以上に過酷だった。遮蔽物との距離が長い分、視界に映る糸の量が半端じゃない。  ましてや、鳥やら猫やら犬やらの動物に加え、草木やゴミが視界に映るし。そして厄介なのはやはり人間だった。  だが気づいたことも増えた。遠すぎる物体や細かすぎる物体からは糸が出ていないということだ。  遮蔽物と時の関連からもみて、ちゃんと視認出来ないものは大丈夫らしい。逆に、ガラスなど透明な物体で遮られた物は、遮蔽物に多少の色がついていても向こう側の物体が見える限り糸が見えてしまう。  つまり、眼鏡やサングラスでは防げないということだ。  少しずつだが、この糸についてわかってきた。その範囲や程度は曖昧だが、こうして突き詰めていけば対処策が見つかるかもしれない。  サンタは少しだけ希望を取り戻し、友人宅へと足早に向かった。   サンタの自宅に呼べば外に出る苦労はないのだが、妹と母親がいるので自ら辞退したのである。  相手は特に気にするでもなく、快く招いてくれた。  なるべく人の通らない道を通って、ようやく友人宅にたどり着く。  
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