希望

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3月の桜も咲き始め、まだ少し肌寒さを感じる頃。 入社式よりも早いのだが、一日でも早く慣れるようにと言う会社の意向で専門学校の卒業式を終えた次の日、僕は京都の桜や紅葉で有名な地にいた。 店の前に立っている。 風格を感じる玄関には、いかにも料亭ですと言わんばかりの看板とも、表札ともとれる物が堂々と主張している。 そこには『久喜』〈ひさき〉と、書かれている。 『ふぅ~』 っと、大きく息きを吸い込むと僕は決心した。 そして 『本日からお世話になります! 稲葉と申します! よろしくお願いします!』 自分でも上出来と思えるほどの声で店内に入った。
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