430人が本棚に入れています
本棚に追加
/112ページ
休憩中のため調理場には数人しかいなかった。
(この店は昼から夜まで開けっ放しだったので休憩は交代で行っていた)
『ユウ!
寮の事を教えてやれ!』
板長が数人の中から一人を呼んだ。
そして、
『はいっ!』
と唯一坊主頭の人が、僕の方に向かって歩いてきた。
『今から寮まで行くけぇ~、ついてきいや』
ニコッと微笑みながそう語りかけてきた。
この人の名は竹本さん。
最初は、
(坊主頭だし、目力があって怖そうな人だ!)
と思ったが、
笑顔がすごく爽やかでこれほど爽やかな笑顔をする人は今までに見たことが無い!)
これが竹本さんとのはじめての出会いであり、第一印象だった。
『稲葉は、確かワシと同じ部屋じゃけど、お前タバコ吸う?』
歩きながら竹本さんは僕に聞いてきた。
荷物は会社の指示でほとんど8割ぐらいは宅配便で事前に送ってある。
『・・・タバコ・・ですか?
自分吸いませんよ・・・・?』
訳がわからずに答えた。
『ワシなぁ~、ベビースモーカーじゃけえ(笑)、大丈夫かおもってのぉ~。』
竹本さんはそう答えた。
(えっ?初めてあったこんな下っ端の自分に気を使ってくれるなんて!)
僕は驚いた。
心遣いはすごく嬉しかったが、別に気にすることではないと思ったので、
『自分、平気です。
ありがとうございます!(笑)』
そう答えると、
『じゃけえ、そうはいってものぉ~・・・・まぁ~様子見て我慢できんかったら言うたらええからな!(笑)』
またあの爽やかな笑顔でそう言ってくれた。
そして寮についた。
最初のコメントを投稿しよう!