地獄の始まり

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地獄の始まり

一夜が明け、僕と志田は初日なので8時に出勤した。 『おはようございま~す!!』 気合いを入れて調理場に入る。 5人くらいの先輩達がすでに忙しく働いていた。 『久喜』の調理場は、僕達新入社員6名と料理長以下先輩達12名の場総勢18名体制のそこそこの規模の店だった。 店には下の者から出勤し、最後にくるのが副料理長(通称2番)になる。 料理長(久喜では『○○さん』と、名前で呼ぶことになっていた。 だいたいは『親父さん』が一般的)はワゴンで仕入れに言っている。 『今日、2番のクラウチさんが帰って来るからちゃんと挨拶するんやで』 大分出身の河村さんがそう言った。 僕 『ク・・ク、クラウチさん!て? 2番て外人のかたなんですか!?(汗) 』 僕の頭のなかには、完全にピーター・クラウチがいた。 河村さん 『あほか(笑) クラウチてなぁ~ 倉、内、や。』 紙に字を書いてくれて納得した(笑)。 河村 『確かに外人ぽい名前やけどな。(笑) 倉内さんに言うたろっ。(笑)』 僕 『勘弁してくださいよぉ(泣)』 河村さん 『嘘やて(笑)。 とりあえずな~洗いもんしといてや。』 『わかりました。』 そう言うと僕と志田は洗い場に向かった。それからすぐに僕たちの1つ上の先輩の島村さんがきた。 『洗い物のやり方教えるけぇ~。』 そう言って実際にやりながら説明してくれた。 『久喜』では、器は別に洗い場のおばちゃんがいるので洗わなくてもよかったが、調理器具は僕たち坊主 (一番下の者の呼び名、店によっては、アヒル、追い回しとも呼ばれる。 めちゃくちゃキレられた時は、くそ坊主と言われた。)の仕事だった。 しばらく洗い物を続けていたら先輩達が順に出勤してきた。 昨日寮で挨拶した先輩には軽めの内容の挨拶をし、初めて会った先輩には、簡単な自己紹介付きで挨拶をした。 みんな良い人だ! 楽しく修行できる! この時も思った。 ・・・・しかし、後で思い知るのだ・・・・。
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