【 正しい答え 】

2/2
前へ
/34ページ
次へ
どうしても逃げてしまう 指の間から 手の平から 腕の中から 風に攫われるように 突然に 秋の空のごとく 突然に……     待って 行かないで  置いていかないで   キライにならないで― 温もりを失った 手の平を顔に押しつけ 涙をせき止める それでも尚溢れる滴は 指の間をすり抜け 胸元を汚し 足下に転々とシミを残す どうすればよかった? どうして欲しかった? 問いかける虚空には 君の幻 最後に見たやつれた 笑 顔 とても安心した 笑 顔 君との最後の思い出が どんなものであれ 君が笑顔でよかったよ けど 答えはどこに問えばいい? 夢に問いかけても 答えは得られず 儚い逢瀬は朝日に消える そして やっと答えをくれた君は 美しい宵闇の中 左右に釣り上げた唇で 楽しそうに微笑んだ あぁ そうか…… 瞼を越えて射す光 発狂を誘う 漂白された一室で         kotae 目覚め導かれた≪記憶≫ そうだった 私は彼女を谷から 助けられなかった ≪Es ist, weil ich nicht faumlhig war, vom Tal zu sparen.≫ 谷底に吸い込まれていく 君の言葉 アナタだけでも助かって ≪Aber wird bewahrt.≫ 聞き入れたくない 君の願い 難しい笑みを携えて 見えない底へと 落ちていったね その速度に追いつけず 奈落のさらに奥へと    逝ってしまった     温もりを抱いて この物語を読み解いて アナタと   ≪少女≫は知るでしょう   正 解   ≪Antwort.≫は   彼女はもう居ない ≪―Ich werde     verschwinden≫      ~Und~
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加