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「はい」
少し遠くで、ホストさんがインターホンに出る声が聞こえる。
こんな遅早朝にいったい何の御用時なんでしょう・・?
ホストという仕事がどんな仕事なのかよくわからないので、これが当たり前の日常なのか、異常なのか区別がつかない。
だが、実は、この”お客様”はホストさんのお客様ではなかった。
『ちょいとすいませんねぇ、こちらに長身長髪の男が入っていくのを見たんでね・・・かくまわず差し出していただけませんかぁ?』
低い声と、丁寧ながらも脅し口調。
そう、インターホンの向こうにいる”お客様”は俺の”お客様”だった。
俺を追い続け、見つけてはお金の返済を要求し、終わらない金額を払わせる・・・
「・・・しゃ・・・借金取り・・・!!」
洗面所からそっと覗くと、インターホン越しに俺と目が合う。
絶体絶命・・・
そんな文字列が頭を支配し、回り続ける。
『聞いてんのかぁ!?』
借金取りの怒鳴り声が響く部屋で、動けずにいる俺と無表情のホストさん。
その視線が俺から外された時、恐ろしいくらい綺麗な笑みをこぼして見えたのは・・・
俺の気のせい?
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