箱と男

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ここは夜を知らない街。 色とりどりのネオンに囲まれ、道行く人々は皆、雰囲気にも、酒にも飲まれ、溺れていた。 俺はこの街に在るホストクラブ・Edgeのホストをやっている。 最初は軽い気持ちでやっていたが、気がつけば、店のトップまで登りつめていた。 だが、トップに立てたからといってこれほど退屈なことはない。 俺の下には俺の地位を揺るがせられるほどの奴がいないからだ。 下から這い上がろうとする奴を上から蹴落とすのは楽しい。 が、それが常日頃に続けばどうだ? 同じことの繰り返しは退屈を呼び寄せる。 どんなに女が寄ってこようとも、俺の欲は満たされない。 俺の欲しい物。 常に変化の在る刺激。 それはいったいどこにあるのだろう?
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