最終章―喜びと悲しみの間で…

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俺は顔を遠ざけ、心の手を握って椅子に座った。 「どうしてしないの?」 「もしかしたら奇跡が起きるかもしれないのでは?」 「やっぱりチキン王子様なのか?」 「俺はチキンな野郎だ。奇跡が起きるかもしれない、でも起きなかったらその後に残る物が恐いのさ。だから俺はこうして待つだけでいい」 ただひたすら心の目が覚めることだけを願った。 みんなも黙ったまま見守ってくれた。 昼は勝が善意(俺の命令)で買ってきてくれた。 「ただ待つのも暇だな。勝、何か面白いことやれ」 「俺かよ。それなら、一発ギャグを……」 「ちょっとトイレ行ってくる」 「ぉおい!! 無視かよ」 怜香達の笑い声を聞いてトイレに向かう。 今頃一発ギャグやって二人に引かれているんだろうな。
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