4069人が本棚に入れています
本棚に追加
俺が帰ってきた時には怜香と遥が椅子に座って話していた。
勝のやつは病室の端で沈んでいた。
「相変わらず目覚まさないな。やっぱりやらない方がよかったのか……」
心の目が覚めないなら記憶なんて関係ないし、やめればよかったな。
今は早く目が覚めてほしい。
前から気持ちがよく変わるけど、自分でもよくわからない。
心の記憶が戻ってほしいのか戻らなくてもいいのか。
俺って安定しないな。
落ち込んじまうよ。
「進くんそろそろ帰らない?」
「もうこんな時間か。そうだな、そろそろ……」
時刻は5時頃、沈みかけた陽の光が病室を茜色に染めていた。
その病室の異変に最初に気付いたのは勝だった。
最初のコメントを投稿しよう!