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俺は診療所を出るとちょうど来ていた電車に飛び乗った。
現実逃避というやつか、俺は1秒でも早く逃げたかった。
「怜香さん、今の人は?」
「全く覚えてないんですか?」
「全くです。でも、あの悲しそうな顔がすごく気になるです」
遥も怜香も、複雑な気持ちだった。
一部戻って違う一部がまたなくなる、こんなことが目の前で起きている上に身近な人が大きく絡んでいるから。
「ダメです。あの人のことを考えると頭が痛くなるです」
「なら無理しちゃダメだよ。心ちゃんはまだ寝てたほうがいいよ」
遥が心を寝かし、二人は病室を出ようとした。
勝はすでに消えている。
「今日はありがとうです。また学校で会うです」
二人が帰ると心はまた考えた。
「あの人…思い出さないといけない気がするです」
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