出会い

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あれですか、お互いボールを取ろうとして手が…なんて あるわけないじゃないですか。 私はボールを彼の方へ投げた。 あ~、あの時はたしか投げたんじゃない。 打ったんだ。 なんでかは忘れたけど、おかげで緊張がほぐれた気がした。 だけど、肝心の試合は負けた。 相手が先輩だったからじゃない 私達が弱かったからだ。 ペアと別れて、私は1人泣いたんだ。 負けたことも悔しくて、自分のミスが許せなくて。 その時、彼がいたんだ。 「試合、お疲れ様」 そう声を掛けてくれた。 一瞬、誰だよなんて思いつつも、涙を拭いた。 でも、どうしても止まらなかった。 誰にも見られたくないのに。 「泣いていいよ」 ふざけんな。 私はマジに思ったから。 思いとは裏腹に私は泣いた。 おかしいな いつもの私なら、慰める派なのに絶対。 泣き止むまでいましたさ。 試合はどうしたんだよ、と思ったら彼も負けてた。 お互い慰め合いましたよ。 私だけってのも悔しいから。 そしたらさ、彼も笑ったよ。 「うん、笑顔になった」 お前はどこぞの騎士にでもなったつもりか。 一瞬でも殴りたい気持になりました。 これが友だったらラケットで… 彼は漫画の世界でも生きていける!そう思ったよ。 だってカッコいいもん。 稀に見ぬ美形さんでしたよ。 当時の私は、テニス一筋だったけどね。 その前は吹奏楽だったけど。 それから、一緒に試合見たんだっけ。 なんでかとっても居心地よかったなぁ。 1人の空間にいるみたいで。 試合を見ながら、弱点やミスをした場所、相手を分析したりしてたんだ。 お互い観察が好きでした。 と、観察に夢中になっていたら、お昼っすね。 私のペアが呼びに来た。 「一緒に食べよう」 後ろから声がしましたとさ。 まぁ別に誰とも約束してなかったし、一緒に食いました。
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