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肌寒い中。
病院に着くと、受け付けの人に病室を聞き
部屋の前で、ノックした
「…どうぞ。入ってきてください。」
いつもと同じ、冷静で冷たい声でいわれ。
綺は中にはいった。
「な、夏川さん…どうして病院に?」
「いや、みんな心配してるし…だから、私が代表してお見舞い✨」
にかーと、満面の笑みで笑うと椅子に座りくだものを剥いた。
「手を切ってしまったら、痛いですから。」
「大丈夫だよ~、私家でよく手伝わされてるし」
呑気な声で話す綺に、健一は苦笑した。
「本当に…あなたって人は、能天気なんですから」
静かに笑い
健一は、俯いて皮を剥いている綺に目を動かした。
そして、静かに健一は笑うと剥きおわった林檎に爪楊枝を刺し口に付けた。
「綺麗に剥けてますね…良妻賢母ですかね…」
目を伏せ、すこしずつ食べていった。
「あぁー!!もう部活に行かなくちゃ…またねッ」
包丁をしまい、ある程度部屋を綺麗にすると、健一に手を振り綺は病室を出た。
その病室の中で、窓の外を見つめ綺に目線を動かした。
「あなたは…何にも分かってないんですね。」
窓にそっと触れ、怪しい笑みを浮かべていた―…
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