名ばかりな神?

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「まぁ…ええわ、許したる。あの少年に…免じてな」 再び水晶玉の方へ体を向け、男はそこに映る少年を見つめ今度は優しく微笑む。 「それほど…貴方は、その少年が御気に召されたのですか?」 「せやなぁ…その言い方がおおとるんか分からへんけど、観てて飽きんちゅうか…これから始終楽しませてもらえそうなんや」 「貴方がこれからを楽しみになさっておられることは、声の抑揚から十分分かります」 女の言葉に、男の肩が微かに上下し出す。 それに伴って、堪えていたかのように、男は最初は鼻で軽く笑っていたけれど、次第に大きな声で笑い出した。 女は何も言わず、そして表情一つ変えることなく、男の様子を伺っている。 男は笑うのを止め、水晶玉へと手を伸ばす。 そのまま手を水晶玉に乗せ、少し目を細めジッと水晶玉の中の少年を見つめる。 「コイツは…、最後にどんな顔をすんのやろ…」 「笑う、ことだけはないでしょうね…きっと、怒りに――…いえ、明かされた事実に、悔し涙を流すのではないかと思います」 「そんなん聞いたら、益々“その日”が楽しみや」 「貴方という人は…。どうして貴方のような人が、“そこ”に立つことが許されたのでしょう…不思議でなりません」 .
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