今宵は冷える

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くちゅん、と 霊夢のくしゃみ。 体を震わせている。 俺は木から降り、霊夢の元へ向かう。   「戻るか?」 「そうね」   相も変わらず短い会話。   「ねえ」 「なんだ?」   隣で歩いている霊夢に、 顔を向け返事をする。 霊夢の顔が赤く 染まっている気がしたが、 寒さの影響だろう。 俺は特に触れず霊夢の言葉を待つ。   「一緒に寝る?」 「バカ言う…」 「良いわよね?寒いのよね? じゃあ、決定」   一方的に捲し立てると、 霊夢は俺を残し、 部屋の方へと走り去る。   「先に寝たら許さないから」   そんな言葉を残して。 服が汚れないように注意しながら、 一目散に走っていく。 俺は後を追おうと踏み出す、が すぐにそれを止める。 そう長い付き合いではないが、 ああなると、 何を言っても無駄なのは 分かりきっている。 腹をくくるしかないだろう。
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