眠り

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「起きなさいよ」   不意に聞こえる声。 寝ぼけた頭で、 声の意味を確認し そっと目を開ける。   「おはよう」   眼前に広がる色づいた景色。 紅葉や銀杏など、 様々な木々が生い茂っていた   「やっと起きた?」   不意に目の前に少女が現れる。 黒髪に巫女服、といった 今では神社にでも、行かなければ 見ることが出来ないような格好。 そんな衣服を身に纏い、   博麗霊夢   彼女がそこに居た。 俺はしばらく言葉を出せず、 ようやく出した一言は、   「飯?」   と、なんとも情けない言葉だった。   「…………はぁ」   霊夢は頭を抱え、ため息をつく。   「掃除は?」   掃除   その一言で 様々な事を思い出す。   俺が霊夢に頼まれ 落ち葉などの、掃除をしていた事。   飽きて箒を投げ出し ふらつきはじめた事。   迷子になって 木のふもとで寝てしまった事。   これは、また ぐちぐち言われるかな、と 思ったが、予想は裏切られた。   「さっさと帰るわよ」   俺はその言葉に、 違和感を覚えた。 いつもならもっと、 何かしら言われてるのに、 不思議と何も言われない。 まあ、下手に刺激して、 説教でもされたら たまったもんじゃない。 おとなしくついていくべきだろう。
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