気まぐれ

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唯は産みの父親を知らずに育った。 はじめて父と会ったのは、16歳の誕生日を迎えた頃だった。 眠らない街と言われる新宿歌舞伎町、有名喫茶店Rで待ち合わせをした。   奥の豪華なソファーへ通されると、「父」と名乗る体格の良い男がどっかりと偉そうに座っていた。   男は、普通 娘には渡さないであろう名刺を黙って差し出した。   唯の目には、紋付きの名刺に「K會系S會○頭」という文字が飛びこんできた。
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