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そんな折、ライトたちのいる講壇の脇にある扉が大きな音を立てて開いた。マルコが来たかと一瞬驚いたが、そこにいたのは地上で会った男の一人だということに気付いてライトはホッとする。もしそこにいたのがマルコだったら、おそらくジェイルの命はなかっただろう。
「ペ、ペゼーさん。大変だ!」
そんなライトたちの思いを余所に、そのデーモニッシュの男は慌てながら言った。レイシアを奪い返され、他のデーモニッシュ達は逃げ惑い、これ以上何があるのかとペゼーは眉間に皺を寄せる。
「マルコが……マルコが……」
中々言いださない男の言葉に、ライトたちは胸を詰まらせる。マルコが……どうした? まさか、ジェイルが一人で闇ギルドをやっつけたというのだろうか。
男は必至で、言葉を紡いだ。
「マルコが……私らの全財産を盗んで逃げやがった!」
その言葉に目を丸くしたのはペゼーだけではないだろう。事実を知れば、その時の様子が容易に想像できるというものであった。
「ふざけんじゃね、五割だ!」
「馬鹿言え、二割だ。それ以上はやらん!」
デーモニッシュアジトの某一室にて。『デーモニッシュの金がある場所を知っている』というジェイルの一言で、闇ギルド一同はジェイルの案に従うことにした。
そして、そこでの取り分で少し揉めることになったのだ。
「二割だと!? ふざけんな、俺がいなかったらここの場所なんて分からなかっただろ? 五割だって謙虚な方だぜ」
ジェイルの言い分に、マルコが反論する。
「ふざけてんのはてめえだろうが。人数を考えろ、二割だってお前一人分の方が多いんだぞ」
「よく言うぜ。ほとんどてめえが一人占めする癖によ」
ジェイルの言葉に周りの闇ギルド員がうんうんと頷いたので、殺気だったマルコの視線を浴びることになった。
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