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「リーマス様! おめでとうございます、たった今お生まれになられました。玉のような男の子でございます!」
主治医の男が笑顔を見せながらリーマスに近寄っていった。雷のことなど何も知らない、といった様子だ。
中央のベッドで横になっている妻。その隣では生まれた赤ん坊に助産婦らが産湯をつかせている。
「え……、あ、あぁ。ありがとう。えっと……雷は、どうした?」
リーマスは困惑しながら医者に尋ねた。医者は相変わらずにこにこと笑顔を作ったままだ。
「ええ、近くに落ちたようですが、特に問題はなかったようです。でも一体どこに落ちたんでしょうねぇ?」
この後、医者と助産婦たちは部屋を出るとしばらく固まって動けなかった。まさか自分たちのいる場所に雷が落ちたなどとは思いもしなかったのだろう。
「マリア、よくがんばったな」
リーマスは妻に近寄り、そっと頬を撫でた。
「私たちの子なのね。ねぇ、名前はどうしましょう」
「心配はいらない。もう決めてあるんだ。正直に言うと、今決めたんだけどね」
こうして、フェルマータ家に新しい家族が誕生した。その男の子は“雷光”という意味で、『ライト』と名付けられた。
to be continued...
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