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鬱蒼と茂る森。
人の侵入を拒むかのように暗く、どんよりとした湿気に溢れている。
草木を揺らす風さえも通っていないようにも見える。
そこを進む人影一つ。
後ろに束ねられた銀色の髪は凹凸の激しい道を歩く体に合わせて揺れる。
「そろそろだと思うんだがな……」
声の持ち主は男のようだ。
男は立ち止まり辺りを見回した。
訳の分からない植物や見たことのない花がうじゃうじゃ生えている。
もう少し進もうと男が左足を踏み出した、その時、
!!!
踏み出した足の影から、獰猛に光る牙を持つ触手のようなものが飛び出し噛みついてきた!
男は飛び退きそれをかわす。
「やっとおでましか」
目の前には人の背丈の倍ほどで、全身に先程の触手らしきものが巻き付いている人型の魔物が姿を現していた。
「何だ…食いもんにしては勘がいいじゃねぇか……」
魔物がそのおぞましい口を開き喋り出しす。
「村のもんじゃねえなぁ。まあ、食いもんて事には変わりねえけどなあ!!」
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