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その日から、修と僕の関係は少しずつ変化していた。僕が気付かないほど、ゆっくりと着実に…。
「ねぇ、修見なかった?」
「悪い!俺は見てないわ!」
「そっか、ありがとう。」
いつも一緒に帰っていたが、文化祭が近いせいでなかなか僕達は一緒に帰れなくなった。しょうがないと思いつつ、あの日の修の様子が気になっていた僕は小さく溜め息をついた。
嫌な予感がした。見えない何かが僕達の仲を壊すような気がしていた。
「優…?」
「…?」
少し考えごとをしていると、僕を呼ぶ声がした。呼び掛けた人物を見ると、僕が捜していた修だった。修は不思議そうな表情で僕を見ていた。僕はそんな修の様子が面白くて、笑いながら言った。
「修の様子が気になって来ただけだよ。」
「お前は俺の保護者かよ?」
そう言って笑う修はいつもの修だった。
僕達は互いに笑いながら、歩いた。いつもと同じスキンシップでいつもと同じ僕達だった。
僕はいつもと同じ修を見て、不安が消えていた。けれど、それは間違っていた。
いつもの日常が簡単に壊れるとは思わなかった…。
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