真実

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文化祭当日。沢山の人が来て、僕達も楽しんでいた。僕が歩いていると、前方から修が1人で歩いてくるのが見えた。 一瞬、互いに目が合った。けれど、修はすぐに視線を逸らし、僕に話しかける事もなかった…。 「修…?」 修の行動の意味が分からなくて、僕は楽しかった文化祭を楽しめなくなった。修の事が気になって…。 その日の放課後。帰ろうとしていた僕に修が話しかけて来た。 いつもと変わらない様子で、いつもと変わらない声で…。でも、どこかぎこちなかった。 「優。」 「どうしたの?」 「一緒に帰らないか?久し振りにさ…。」 「うん、いいよ。」 そう言って笑ったら、修は泣きそうな表情で僕を見た。修のその表情はまるで、迷子になってしまったような置いていかれてしまったような幼い子供の表情だった。 僕はその時、悲しかった。修の心がわからなくなっていたから…。 帰り道、僕達は何も話さなかった。いや、話せなかった…。何も変わっていないのに、僕達だけが変わってしまったようだった…。 「…なぁ、優。」 「なに…?」 「もし、俺が…」 修は途中で何かを悩むようにしばらく何も言わなかった。僕が修の言葉を待っていると、修はまた泣きそうな表情をして僕の頭を撫でた。 「やっぱ何でもない。…いつか、話す。」 「…わかった。」 「ごめんな…。」 そう呟いた修の表情を僕は見れなかった。この時、修の表情を見ていたら何か変わっていただろうか…? 『いつか話す』なんて永遠にできないのに…。
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