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「父上、これを……」
月明かりに照らされたうっすらと暗闇が広がる部屋。
そこは旧時代の王城の謁見室にも似た広い部屋。
父上と呼びかけられたその人物が座る場所は、周りよりも一、二段程高い。
父上に呼びかけた人物は水晶玉のような小さな丸い物体を持っていた。
それは淡い光を放ち、虚空へと映像を映す。
そこに映るは炎の様な真紅の髪に、同じ様な真紅の右目に茶色の左目のオッドアイの青年とも少年ともとれる人物。
その人物を見た時、父上は酷く喜んだようだ。
「何処で見かけた?」
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