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「お帰りなさ……あ、雅司!」
教室前の娘たちに案内され、椅子に座ると教室内にいた茜が僕に気付いた。
手には美味しそうなパフェが。運んでいる最中なのだろう。
「や、やぁ…」
「来てくれたんだ。赤松さんのクラスもメイド喫茶やってるらしいから……ずっとそっちにいるものだと思ってた」
他校の生徒と思われる、見たことのない制服を着た男の人がいるテーブルにパフェを置くと、茜は嬉しそうに僕と向かいの席に座った。
「珠江のクラスはかなり混雑してて……僕もずっとあっちにいるつもりだったんだけど……」
茜のクラスより珠江のクラスのメイド喫茶の方が人気なのは明らかだ。
まさか設置されてる席に座れないほどお客さんが来店するなんて……予想外だったな。メイド姿で頑張る珠江をずっと見てたかったのに……
茜は「そっか」と満足そうに笑顔を形成した。
「で、お暇になった雅司くんは人気のない方のメイド喫茶に訪れたと?」
「別にそこまで言ってないけど……まぁ珠江のクラスと比べてどう違うのかなって……」
「私たちのクラスは衣装や内装にはあまり費用を使ってないの。見た目は赤松さんのクラスより劣るけど……」
そう言うとテーブルの中央に置かれてあったメニュー表を手にした。
珠江のクラスのメイド喫茶にはメニュー表なんてあったっけ?
確かメニューの書かれてある札を教室内に立て掛けてあったような……
「食べ物に関しては力を入れてるつもりよ?もちろん、お客さんと接するサービスもね。どうですか、お客様?」
わざとらしく言うと、メニューを開けて目の前に持ってくる。
パフェにオムライスにカレーライス。ドリンク各種に、なにやらお客さんに対するサービス一覧……サービス一覧には10分間お喋りとか、萌ジャンケン3回勝負とか……
サービスは置いといて、なるほど。ホントに食べ物は力を入れてるらしく充実している。
メニュー表を見るだけじゃ、珠江のクラスとはバリエーションが比べものにならない。
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