始まり

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「おいおい……自分から話し掛けておいて最後にはあれかよ。赤松珠江もいい迷惑だよな」 「全くだよ…。彼女は嫌がってるのに、あんな……」 止めにいこうか…? でも止めに行ったとこでどうすればいい…? 逆に秀一郎先輩を怒らせてしまうかも…… …ダメだ。そんな情けない考え。男なら!好きな女の子が困ってるのを見たら!助けに行くのが道理だろう! そう考えていると、教室中に風船が割れたような渇いた音が響いた。 気になり2人に目を向けると赤松さんは右手を振ったような構えで、対して秀一郎先輩は自分の左頬を押さえていた。 …ビンタでもしたのだろうか? 横にいる河本も、周りの生徒たちも口が開いたままの状態… 「…痛いな……急になにするんだい?ビックリするじゃないか」 「…」 「また黙り通すつもりかい?いい加減にしなよ…」 「…」 「…キミがそんな態度なら、俺にも考えがある」 「…あっ!?」 壁ぎわに赤松さんを追い詰め、両手を掴み、逃げられないようにした。 顔を近付けて…… まさか…… 「おい雅司!あの野郎、赤松珠江にチューするつもりだぞ?!」 「チ、チュー!?」 いけない… 赤松さん、動かない手の代わりに足をあんなにばたつかせて……   よっぽど嫌なのだろう。あれだけ冷静で、クールな赤松さんがあんなに動いて表情をしかめているのだから…  
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