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「それは構わないが……キミはなぜ彼女にそこまで手を尽くす?見たところ、親しくはないようだけど…」
「…確かに僕は赤松さんとは何ら関係もありません。でも困っている人がいたら助けるのは当たり前でしょう?」
「……わからないな。親しくないなら、ただ見ていればいいものを……」
秀一郎先輩はゆっくりと立ち上がった。
「キミは目障りだね。気分を害したよ。今日はもう帰る。じゃあね?赤松珠江ちゃん?」
目の前の僕を、虫でも見るような見下した目で睨んだ後、赤松さんに手を振り立ち去った。
「……」
あの人は……自己中だ。
自分の思い通りにならないと力付くでも自分の欲求を満たそうとする。
僕はああいう人、嫌いだ…。
「おい、雅司。大丈夫か?」
河本が寄ってきた。
「お前なかなかやるな。急に飛び出したと思ったら、なんちゃってイケメンナルシスト野郎をぶっ飛ばして、赤松珠江を助けるなんてな」
「…あのときは、頭が真っ白で……でも結果的には良かったよ……」
赤松さんに向き直った。
まだうずくまったまま、顔を俯けている。
まだ、恐いのだろうか…?
「…大丈夫?もう…心配ないよ…?」
「…」
僕は手を差し出した。
彼女はそれを無視し、ゆっくりと立ち上がった。
少し顔が赤い?もしかして泣いてたのかな…?
「だ、大丈夫!?泣くほど嫌だった!?」
「……違う…」
か細く呟いた。
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