始まり

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「えっと……なんともない?顔が赤いから……心配で…」 「っ?!」 「ホントに大丈夫…?」 「だ、大丈夫だから……」 赤松さんは顔を両手で覆って教室を走り去ってしまった。 「な、なんだあれ?せっかく助けてやったのに、お礼の一言もないのかよ?」 「いや、お礼なら…」 さっき走って僕の横を通り過ぎようとしたとき 「…ありがと…」 って…… 小さな声で、聞き取りづらかったけど確かにそう言った。 「……なにニヤニヤしてんだ?」  「え?!あ、いや……僕ニヤニヤしてた?」 「なにがあったかは知らないけど……気持ち悪かったぞ…?」 「そんな…ひどい…」 僕のニヤけ顔はほっといて… 赤松さんと、少しだけど話すことができた。 こんなこと考えるのは不謹慎かもしれないけど、素直に嬉しかった。困っているところを助けることもできたし。 でも赤松さん、大丈夫かな? 様子が少し変だったけど… できれば赤松さん、大丈夫なのか確認したいけど……もうそこまで勇気がないな…… 僕と河本は騒ぎになる前に教室を後にした。   
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