好きだけど

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「おはよう」 「あ、おはようお兄ちゃん」 リビングに入り、挨拶をして一番先に挨拶を返したのは僕の妹真美だ。 僕より一つ年下だ。 「あれ?母さんは?」 「もう仕事に行ったよ?朝ご飯は作ってあるから冷めないうちに食べて学校に行きなさいだって」 「そっか」 母さんは昔、父さんが交通事故で亡くなってから毎日仕事で忙しい日々を送っている。 生活を少しでも楽にしようとして、朝も今日みたいに早く出勤して働いている。 体のことが心配だけど……僕たちに今できるのは、母さんに迷惑をかけないこと。 他に何か母さんの手助けをしたいという想いもあるけど、所詮僕はまだ高校生。できることは限られてくる。 「それより、お兄ちゃんゆっくりしていていいの?いつもなら食べ終わって学校に行く準備も済んでるはずだけど?」 「…え?」 いつもは何かない限り7時半までに起き、8時過ぎには家を出て登校している。 しかし、時計を見るともう8時になろうとしていた。 「…いけない。寝すぎたみたいだ」 僕はすぐに朝ご飯を食べ、制服に着替えた後家を出た。  
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