好きだけど

4/36
前へ
/300ページ
次へ
いつ買ってもらったかも忘れた自転車にまたがり、学校を目指す。  さびてて、おまけにどこからか変な音が聞こえる。 何年も、おまけにいつ買ってもらったか忘れるくらい使い続けて、未だに走り続けてくれる。 もし、この自転車が壊れたらどうしよ……?母さんに無理言って買ってもらうわけにもいかないし…… 歩きで通学になるかな…。遅刻する日数増えるだろうな……。 考えていたら後ろからベルの音が聞こえた。 後ろには、すっかり見慣れた河本の姿があった。 「おぅ、雅司。いい朝だな」 「おはよう河本。いい朝だね」 いつも朝会うとこんな感じにやりとりする。 そして何気ない会話をやっているうちに学校に着いてしまう。 今日も河本と会話してると学校に着いてしまうんだろうな。 「…雅司、なんかいいことあったか?」 「え?どうしたの急に?」 「いや、気のせいかもしれないけど……ニヤけてるぞ…?」 「え!?」 もしかして昨日みたいになってた?! 赤松さんが出た夢が、自分が思っていた以上に嬉しかったんだろうか? 自分のニヤけ顔を気にしていると学校の門が見えてきた。 実に家から学校まで10分。案外近い場所に学校はある。   
/300ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12664人が本棚に入れています
本棚に追加