好きだけど

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校門の前まで来ると、誰かが門の前で立っていることに気付いた。  先生かな?でも先生は門を閉める時間にならない限り、外に出てこない。まだ門を閉める時間じゃないし……誰かな…? 最初は先生かな?と思っていたが、それは違うことにすぐ気付いた。 門の前で立っているそれは、少し俯き気味でただじっとして動かない。 通り過ぎる生徒に声をかけられたりもするが、完全に無視。 顔が見えないくらい長い黒髪。なんとも特徴的だ。 他にも特徴的な外見はあるが、もう完全にわかる。 赤松珠江さん 「お、おい。雅司…あれ…」 「あ、赤松さん…!」 こぼれた声が余程大きかったのだろう。 赤松さんは俯けた顔をパッと僕に向けた。 「……あ」 気付いた途端、僕たちに向かって小走りで寄ってきた。 何か用だろうか? 「赤松……さん?」 「…待ってた」 「え?」 「自転車で通学してるって友達から聞いたけど……何時に来るかは聞き忘れたから……ずっと待ってた……」 僕を待ってた? しかもいつ来るかわからない僕を?ていうか誰に僕のこと聞いたんだろ……? 「…ちゃんとお礼言えなかったから……」 「お礼……?……あぁ!昨日のことだね。いいよそんなこと。赤松さん、ちゃんとお礼言ってくれたじゃない」  「……聞こえてたんだ……」 そりゃもうバッチリ…  
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