12664人が本棚に入れています
本棚に追加
校門の前まで来ると、誰かが門の前で立っていることに気付いた。
先生かな?でも先生は門を閉める時間にならない限り、外に出てこない。まだ門を閉める時間じゃないし……誰かな…?
最初は先生かな?と思っていたが、それは違うことにすぐ気付いた。
門の前で立っているそれは、少し俯き気味でただじっとして動かない。
通り過ぎる生徒に声をかけられたりもするが、完全に無視。
顔が見えないくらい長い黒髪。なんとも特徴的だ。
他にも特徴的な外見はあるが、もう完全にわかる。
赤松珠江さん
「お、おい。雅司…あれ…」
「あ、赤松さん…!」
こぼれた声が余程大きかったのだろう。
赤松さんは俯けた顔をパッと僕に向けた。
「……あ」
気付いた途端、僕たちに向かって小走りで寄ってきた。
何か用だろうか?
「赤松……さん?」
「…待ってた」
「え?」
「自転車で通学してるって友達から聞いたけど……何時に来るかは聞き忘れたから……ずっと待ってた……」
僕を待ってた?
しかもいつ来るかわからない僕を?ていうか誰に僕のこと聞いたんだろ……?
「…ちゃんとお礼言えなかったから……」
「お礼……?……あぁ!昨日のことだね。いいよそんなこと。赤松さん、ちゃんとお礼言ってくれたじゃない」
「……聞こえてたんだ……」
そりゃもうバッチリ…
最初のコメントを投稿しよう!