好きだけど

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「……あの時は恐かった。急に触られたから……でも近藤くんのおかげで助かった。ありがと…」 「あ、いや……」 「……言いたいことはこれだけ……それじゃ……」 最後に僕の手を両手で握り軽く降った後、学校内に戻っていった。  一度も振り返ることもなく。 「…」 「なんなんだ?横にいた俺には興味なしかよ」 すごい… あんなに文章を喋ってる赤松さん、初めて見た。  しかも自分から、僕に向けて… 嬉しい……。 「…それにしても、赤松さん僕を近藤くんって……名乗った覚えはないけど……」 「お礼言い直したくて誰かから聞いたんだろ。くそぅ…なんだよ雅司だけ……。あ、もしかしたら赤松珠江ってお前のこと好きなのかもな」 「それはないよ。まだまともに話したことも……それに赤松さん、多分すぐに僕のこと忘れるだろうしさ…」 淡い期待を抱いても相手はあの高嶺の花。 きっと毎日僕よりかっこ良くて印象的な人に囲まれてるんだろう。  僕のことなんて、水泡みたいに消えてしまうんだろう……  
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